古代ローマのコンクリート
コンクリートは、年月が経つにつれてもろく
なってくるのが普通です。しかし、古代ロー
マ時代に作られた岸壁のコンクリートは、時
間が経てば経つほど強度を増しているそうで
す。その驚きの理由が、米研究チームによっ
て解明されました。
古代ローマ帝国が滅亡したのは1,500年以上
も前のことで、この頃のコンクリートは、火山
灰、石灰、火山岩、海水を混ぜ合わせて作られ
ています。このうち、重要な役割を果たしてい
るのが、最後の材料である海水なのだそうです。
この珍しい材料の組み合わせのおかげで、千年
以上の時間をかけてコンクリート内で新しい鉱
物が形成され、ますます強度を増しているとの
こと。解析の結果、コンクリートの中にアルミ
ナ質のトバモライト結晶が含まれていることが
わかりました。この鉱物は、海水と石灰と火山
灰が混ざり合って熱が発生することによって生
成されます。現代のコンクリートにとって、海
水は脅威です。補強鋼が錆びてその周りのコン
クリートが腐食してしまうからです。古代ロー
マ人の知恵には驚かされますね。
研究開発室 渡辺雅彦
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