群馬大教授による津波被害研究
群馬大学の広域首都圏防災研究センター長で
ある片田敏孝教授によりますと、地震による
津波時の避難手段として、平野部では車を使
った方が被害が少なくなるケースがある、と
いうことがシミュレーション結果でわかりま
した。
研究対象としたのは、三重県の尾鷲市と米ワ
シントン州のロングビーチ半島です。リアス
式海岸の尾鷲市では、津波からの避難時に車
の利用率が高いほど死者が増える一方、ほと
んど平野部のロングビーチでは、車の利用率
が70%の場合に被害が一番少なくなるとのこ
とです。
尾鷲市のシミュレーションでは、東南海・南
海地震で揺れを感じた5分後に1万8,520人が避
難を始め、20分後に約6メートルの津波が到達
すると想定。全員が徒歩だと犠牲者はゼロで
すが、車を使うと渋滞で逃げ遅れが発生しま
す。利用率20%で死者が出始め、比率が高ま
るに連れて増加します。50%で524人が死亡し、
全員が車だと1,622人が亡くなるという結果に
なりました。
ロングビーチでは海溝型地震の5分後に9,097
人が避難を始め、35分後に約8メートルの津波
が襲ったと想定。車の利用率が0%の場合に
最多の1,901人が死亡し、70%で最少の832人と
なりました。100%車使用だと渋滞が起こるた
め、1,153人と再び増える結果となりました。
国は震災前まで、津波からの避難時に「車は
原則禁止」などとしていましたが、震災後に
修正した防災基本計画では「原則は徒歩」とし、
「やむを得ない場合は市町村であらかじめ検討
する」と改めています。
わが群馬県は、津波による直接の被害はないの
ですが、「土砂災害」があります。山間地では
道路が寸断されることも予想されるので、避難
するのに車を使うのは困難です。群馬県は車が
ないと生活が成り立たな地域も多く、災害で孤
立した時の備えが肝心だと思います。
経理総務部 渡辺雅彦
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