自動巻の腕時計(電池不要・セイコー6218-8971)
先日、手持ちの古い自動巻腕時計を3台メンテナ
ンスしました。セイコーの「Seikomatic-
WeekDater」というもので、1965(昭和40)
年4月、同年12月、1966年3月製造のものです。
1965年といえば、実に55年も前のものです。
「自動巻」というのは、ゼンマイ駆動の時計において、
竜頭を手で回すのではなくて、時計内部の半円形の
金具が腕につけているときに回転してゼンマイを巻く
しくみのことです。(この機種には手動巻機構がない
ため、自動巻機構でのみゼンマイを巻けます。)
歯車などの軸受には、摩耗防止のために人工ルビ
ーが使われているのですが、当時はこのルビーの
数が多いほど「高級」という認識がありました。
この時計には35石使われており、当時としては
多い方です。さらに緩急微動調整、秒針規正など、
様々な面で工夫がなされ、後のセイコーの最高級
ブランドである「グランドセイコー(62系)」の原型
となったものです。この機種は、中身が微妙に
異なるものが3種類存在しています(6218-A/B/C)。
1年位の間に2回もの改善があったわけですね。
改善にかける技術者の思いが、ひしひしと伝わっ
てきます。
数年に一度、注油や清掃等のメンテナンスをして
あげれば、まだまだ十分に動作します。昔の職人
さんの技術には、ただただ驚くばかりです。
常務取締役 渡辺雅彦
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