内曇砥(うちぐもりと)
大工さんをはじめ、様々な分野の職人さん
は刃物を道具として使います。特に日本では、
古来から独自の刃物文化がはぐくまれてきま
した。
その刃物の切れ味を維持するためには、砥石
で研ぐことが大切です。また明治からは、性
能だけではなくて芸術性を高めるためにも、
研ぎの技術は大切なものとなりました。
最近は自然石の良質の砥石は品不足となって
いるようです。
写真はわたしの持っている砥石で「内曇砥
(うちぐもりと)」といいます。研ぎの仕上げ
工程で使われるものです。通常の砥石研ぎだ
けではなくて、細かい部分の研ぎには、薄く
割って吉野和紙を漆で貼り付けた独特の加工
をした砥石を用います。これを指で刃に当てな
がら細かな刃紋を丁寧に研いでいくわけです。
(ちなみに内曇砥の場合は研ぐとは言わずに
「引く」と言うことが多いです)
満足のいく波紋をつくり出すのは至難の業で
すが、うまくいったときはとてもうれしくな
ります。日本の伝統文化はこんなところにも
存在しているのですね。
代表取締役 渡辺雅彦