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2011年12月27日 (火)

放射性廃棄物保管のガイドライン

 環境省は、国による処分が来月以降に始まる

までの間、市町村が廃棄物を保管するための

具体的な方法をまとめたガイドラインを12月

25日に公表しました。

 放射性セシウムを含む汚泥やごみの焼却灰

などの廃棄物のうち、濃度が1キロ当たり

8000ベクレルを超えるものは、特別措置

法に基づいて国が来月以降、処分を行うこと

になっています。しかし、国が処分を始める

までの間は、各自治体が保管を求められるこ

とから、環境省は、放射性物質が地下水にし

みこんだり、火災が起きたりしないための積

み上げ方など、具体的な保管方法をまとめた

ガイドラインを公表したというわけです。

 国が処分場を確保するまでは、自治体によ

る保管が続くことになり、住民の理解をどう

得ていくかが課題となります。また被災地の

がれきのうち、放射性セシウムの濃度が、1

キログラムあたり3000ベクレル以下のコ

ンクリートについては、30センチ以上埋め

れば、同じ県内で道路や防波堤などに再利用

できるとする基準も示されました。

 一時保管にしろリサイクルにしろ、定期的に

放射線量を測定することが大事だと思います。

特に、子どもたちの身の回りで放射線量が高

くならないように最大限の注意を払う必要が

あると思います。

          経理総務部 渡辺雅彦

2011年12月20日 (火)

「冷温停止状態」とは

 東京電力福島第1原発事故で、政府は原子

炉が安定した「冷温停止状態」が実現し、事

故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了

したと発表しました。

 しかしこの発表で用いられた「冷温停止

状態」とは、「冷温停止」とは異なるもので

す。冷温停止とは燃料棒の隙間に制御棒が

入り、大量の水につかった状態が確保され

水温が100度未満に安定していることを示し

ます。

 一方、今回の「冷温停止状態」は燃料棒そ

のものが溶け落ちてどこにあるのか不明な上、

水につかっているのかどうかも不明です。測

定している温度計は圧力容器底部のもので、

直接水温を測っているわけではありません。

いろいろな場所に温度計があるのですが、実

際、一部の温度計は400度近くを表示している

とのことです。この状況では、水を供給し続

けなければなりません。当然、汚染水もどん

どん生成されてしまうことになります。

 「冷温停止状態」は、このままの状態が維持

できれは、放射性物質の拡散がかなり防げる

という状態です。しかし、決して安心できる

状態ではない、ということが言えると思います。

          経理総務部 渡辺雅彦

2011年12月13日 (火)

給食の放射線検査

給食の放射線検査

 群馬県の小中学校の給食で、放射線検査が

行われています。今後はもっと頻繁に行われ

ることになりそうです。

 文部科学省では、検出限界が1kgあたり

40ベクレル以下の測定器を使うように、と

東日本の17都県の教育委員会に通知してい

ます。これは年間1ミリシーベルトに被曝量

を抑える、という見地から設定したものとし

ています。

 ただ、食品衛生法に基づく暫定規制値を受

け持つ厚生労働省と調整がされなかったこと

から、ちょっと混乱騒ぎになったようです。

 子どもたちのためにどうしたらよいのか、

という視点から、両省には協力し、決めるべ

きことは迅速に決め、実行していただきたい

と思います。

         経理総務部 渡辺雅彦

2011年11月29日 (火)

食品の放射線量検査体制

 最近、主食の米で放射線の暫定基準値を

超えるケースが増えてきました。そして、

その一部は販売されてしまったようです。

目に見えない放射線に対処するのは

大変です。

 市民団体等において食品の放射線量を測る

のによく使われている装置はベラルーシ製で、

約180万円です。備品等を含めると200万円を

超えるそうです。個人レベルでは手が届きません。

 やはり、国を挙げて、半導体の優秀なセンサー

を使った測定器で、加工品も含めた全数チェック

をしてほしいと思います。この件について群馬県

健康福祉部に質問したところ、回答がきました。

 『食品の放射線量検査体制の充実については、

今後、加工食品を含む流通食品の検査を実施

することとしており、さらに、県民ボランティア

による「食品表示ウォッチャー」の協力を得ながら、

買い物客目線により、食品についての放射性

物質検査を行うことで県民ニーズに応えてまい

ます。』

           経理総務部 渡辺雅彦

2011年11月22日 (火)

除染作業員の線量測定義務化

短時間に200ミリシーベルト以上の被曝をした場合、

かなりの割合で健康被害が出ることは広島・長崎の

追跡調査から統計的に明らかだとされています。

ただし、200ミリシーベルトを数十年かけて被曝した

場合は様々な意見があり、よくわからないようです。

 1年間1ミリシーベルト、人生を100年としますと、

生涯被曝量は100ミリシーベルトとなります。

この程度なら健康被害が生じる確率は少ないので、

「一般人は年間1ミリシーベルトまで」という値が

日本の法律で決められました。

 厚生労働省の検討会は、放射性物質の除染作業で、

労働者の被曝線量が年間5ミリシーベルトを超える

場合は、事業者に個人線量計による測定を義務付ける

報告書案をまとめました。年間1~5ミリシーベルト

では空間線量や代表者を対象とした簡易測定も容認して

います。年間1ミリシーベルトを十分に下回る場合は

線量管理を義務付けていません。

 一方、ボランティアについては、年間1ミリシーベルト

を下回る場所での作業を基本としながらも、年間1~5ミリ

シーベルトの場所でも年間数十日の範囲内で業務に就く

ことができるとしました。厚生労働省令として来年1月に

施行される予定です。

 もちろん、年間1ミリシーベルトだから安全だという

わけではありません。あくまで「確率論的」な話です。

普段から免疫力を高く維持しておくことが大事だと思い

ます。

               経理総務部 渡辺雅彦

2011年11月15日 (火)

 茨城大学や東京大学などのチームの調査で、
東京電力福島第一原発から放出されて地面に
落ちた放射性物質が、風によって再び大気中
に浮遊している可能性が高いという報告があ
りました。

 福島市、茨城県日立市、水戸市の6月以降
の測定値をみた結果、放射能濃度は風向きに
依存し、原発の方角から風が吹くと事故前の
10万倍の10ミリベクレル程度と高い値を
示す一方、それ以外の風向きの時でも、事故
前の千倍の0.1ミリベクレル程度と一定の
濃度があったそうです。このため、放射性
物質は地面に落ちた後、泥などに吸着し、
土ぼこりなどとして浮遊しているとみられ
ています。

 空中に浮遊する放射性物質に対しては、
「花粉症」と同様の対策が必要です。外出時
はマスクをし、家に帰ったら手洗いやうがい
をするようにしましょう。

          経理総務部 渡辺雅彦

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2011年11月 8日 (火)

「核のゴミ」について

原発の問題点の一つに「核のゴミ」があります。原発は核分裂生成物という放射性物質を生み出します。日本は46年間にわたって原発を運転してきたのですが、核のゴミの総量は広島原爆で生み出された量の120万倍になるそうです。

 無毒化や高速増殖炉で対応することが期待されてきましたが、失敗しました。そこで、隔離する案がいくつか出されました。まずはロケットで宇宙に廃棄する案。これは地球から出る前にトラブルが発生してしまうと大変なことになるのでボツに。次に海底に廃棄する案が出されましたが、海洋汚染の可能性がある上に、海は原子力をやっている国だけのものではない、とのことで国際条約で禁止されました。南極に廃棄する案も、特定の国のものではないことや南極条約で禁止されていることから不採用になりました。

 そこで日本政府は、核のゴミを地下に埋めることを法律で決めました。地下300~1,000メートルの深さまで穴を掘り、そこに埋め捨てる、というものです。日本は地震国ですから、地下保管は心配です。しかも、この核のゴミは100万年くらい保管する必要があります。そのくらいの長期間ですと、山が海になったりするような地殻変動も十分考えられます。

 よく原発が「トイレのないマンション」といわれるのは、こうした理由なのです。

                                                                                 経理総務部 渡辺雅彦

2011年11月 1日 (火)

放射線に対する覚悟

先日、小出裕章氏の講演会に行ってきました。

 「原発は海水を7~10度あたためてしまう。今まで快適に住んでいた
魚介類は、そこにいられなくなる。皆さんは風呂の温度を7度上げて
入れますか?」といった感じで、例を挙げながらわかりやすく解説
されました。

 「(群馬県も含めて)かなりの広範囲に汚染が広がってしまった今、
わたしたちは『どこまで許容できるか』を一人一人が決める必要がある。
子どもたちには汚染された食物を食べさせないようにする必要があるが、
大人は(放射線の感受性が低いので)少しくらい汚染されたもので
あっても食べる覚悟をしなくてはならない。どの程度の汚染まで許せる
かを一人一人が考えなければならない。そうしないと、汚染地域の
第1次産業が崩壊してしまう。」という言葉が印象的でした。

 特に食物の放射線量を測るには高額な測定器が必要です。
国を挙げての対策が早急に必要だと思います。
ただ、国にばかりまかせていないで、わたしたちも、
一人一人がいろいろと情報を集めて知恵を出し合って、
できることからはじめることが大事だと思います。

                          経理総務部 渡辺雅彦

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2011年10月25日 (火)

暫定基準値

放射線の人体に対する影響に関しては様々な見解があり、世界共通の統一した基準にはまとまっていないのが実情です。そこで「暫定」的に基準値を決めて、それ以下となるように努力することが行われています。ただ、この暫定基準値は、国や各種団体ごとに見てみるとかなりの幅があります。良い悪いは別として、ここでは主だったところの基準値を挙げてみます。

【飲物の基準値】(単位はすべて1リットルあたりのベクレル数です)

 ・日本(乳児)・・・・・・・・・・・・100

 ・日本(セシウム137)・・・・・・・・ 200

 ・日本(ヨウ素131)・・・ ・・・・・・300

 ・アメリカ・・・・・・・・・・・・・・・0.111

 ・ドイツ・・・・・・・・・・・・・・・・0.5

 ・ウクライナ(セシウム137)・・・・・・ 2.0

 ・ベラルーシ・・・・・・・・・・・・・10

 ・WHO (セシウム137)・・・・・・・ 10

 ・WHO (ヨウ素131)・・・・・・・・ 10

 ・国際法 原発の排水(セシウム137)・・90

 ・国際法 原発の排水(ヨウ素131)・・・40

【食物の基準値】(単位はすべて1kgあたりのベクレル数です)

 ・日本(野菜・セシウム137)・・・・・ 500

 ・日本(野菜・ヨウ素131)・・・・・  2000

 ・日本(輸入品規制値)・・・・・・・・ 370

 ・アメリカ・・・・・・・・・・・・・・ 170

 ・WHOおよびFAO・・・・・・・・・・ 100

 ・ウクライナ(野菜・セシウム137)・・・40

 ・ベラルーシ(野菜)・・・・・・・・・ 100

これを見る限りでは、日本の基準値は高めのようですね。

                    経理総務部 渡辺雅彦

2011年10月18日 (火)

ベクレルとシーベルト

 ベクレルとは、放射性物質が出す放射線の強さを表す単位です。一方、シーベルトは人体に対する影響を考慮した単位です。放射性物質には様々な種類があり、それぞれ人体に対する影響度が異なっています。一般的に、野菜や土壌などの放射線量にはベクレルを使い、空中線量や人体の被爆などにはシーベルトを使います。

 財布の中のコインを例に考えてみましょう。コインの数がベクレルに相当します。2つの財布があるとして、仮にそれぞれにコインが3枚入っているとしますと、どちらも3ベクレルですね。でも、一方の財布には500円玉が1枚、100円玉が2枚入っているとすると合計で700円。他方の財布には50円玉が3枚入っているとすると合計で150円になります。それぞれ700シーベルトと150シーベルトということですね。(この例はあくまでイメージです。数値の対応は正確ではありません)

 ベクレルをシーベルトに変換する場合、線種や吸入方法によって係数を使い分ける必要があるのですが、概算で良ければヨウ素131の経口摂取係数を用い、ベクレル数値に0.000022を掛算すると「ミリシーベルト」値が得られます。日本のセシウム137の野菜に対する暫定基準値は1kgあたり500ベクレルですから、0.011ミリシーベルトの被曝量とほぼ同じということになります。

                                                                             経理総務部 渡辺雅彦